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 2011 年 7 月に株式会社クラスト事業譲渡された日本のゲーミングデバイスブランド『DHARMA POINT』の製品開発やサイト運営を担当する梅村 匡明氏にブランド立ち上げや新展開について聞いてきました。

GEAIM ピープルに 24 回に登場していただいた佐藤カフジ氏に、次の回答者として『DHARMA POINT』の梅村さんをご指名いただいたのですが、梅村さんには以前から「今度インタビューさせてください」とお願いしつつもなかなか実現していませんでしたので、今回お会いして「GEAIM インタビュー」のコーナー用にお話をお聞きしました。

このインタビューは 2011 年 8 月 10 日(水)に秋葉原にて行なったものです。色々とあり、ようやく公開となりました。

会社に内緒で企画を進めて立ち上げられたゲーミングデバイスブランド『DHARMA POINT』

しばらくの沈黙の後に、ゲーミングデバイスブランド『DHARMA POINT』の事業がシグマ A・P・O システム販売株式会社から株式会社クラストに事業譲渡されました。これはどういう経緯で行なわれたのでしょうか?

梅村: そもそもこれはカットされてしまう話だと思うのですが、シグマ自体がキーボードとマウスの事業をやめることにしたわけです。そうするとダーマポイントが浮いてしまうよねと。当時シグマで展開していた量販店用のマウスやキーボードは展開が厳しくなることは数年くらい前からわかっていたことなのですが、これでみんなを食わせていけなくなりそうだったのですね。しかし、会社としてこれといって何か対応をするわけでもなく続けてきたのです

なんとかなるだろうと

梅村: なんとかなるだろうと。でも実際はなんとかなるわけがないですよね(笑)。それで、Windows Vista が出る一年くらい前ですか。それ用のマウスが必要になるぞということでいろいろ案をもって海外出張に行っていたのですが、打ち合わせ中に日本から電話がかかってきまして「いまマウス事業を止めることが決定した」と。いやちょっと待ってよ、俺いまここで Vista 用のマウス 5 ~ 6 種類やりますよという話をしているのに…と。

でも結局縮小はしたけれどやめられなかったわけです。僕は会社が止めるのだったら止めて別なところでやった方が良いと思うし、今までのマウス・キーボードなど組織の経験をいかして次のステージにいこうとゲーミングデバイスはどうか?という事を会社に提案したわけです。

OA 用だけやっていても仕方が無いので、次の一手としてゲーミング用のマウスをやるのはどうかと。

梅村: でもその話を提案しても、会社では誰も相手にしませんでしたね。そうこうしているうちに、社内の事情がいろいろあり体制を一新しようと私自身含めて異動等がありました。けど蓋をあけてみれば結局前の体勢とはあまり変わらなかったのですね。個人的にはそれだと意味が無いなと。

そこでとりあえず Vista 用の OA マウスだけはやらしてくれと。実は、それがダーマポイントのゲーミングマウスになるのですね。

元々は OA 用だったのですか?

梅村: 元々はというか、会社は僕がゲーミングマウスを作っているということを出来上がるまで知らなかったのですね。(笑)

Vista 用のマウス作っていますよ、良い感じですよ、とか言いがら作っていたのは実はゲーミングマウス?

梅村: そうです。会社には色々便利な割り当てが出来ますよ、センサーはちょっといいのを使いますよ、というような話をしながら(笑) それで、ダーマポイントの事業が始まる一年くらい前には大体試作品はできあがっていたのですね。当時のセンサーは、6010 かな?

Avago のですか?

梅村: そうです。それを使って試作していて色々調べていくうちにマウスだけやっていても生き残れないなと。マウスパッドなど、ラインナップを作らなくてはということでいろいろと考えて作る事にしました。初期は確かマウスパッドが二種類。そのあとヘッドセットやキーボードもですね。

何年くらい前でしたっけ。4 ~ 5 年前とか…?

梅村: 形になり始めたのは 2006 年くらいですね。僕らがリリースする前に SteelSeries さんから Ikari シリーズ のリリースが出ていましたのでおそらく開発時期は同じくらいだと思いますよ。当時って多分、Vista が始まるまえの年でしたので開発は 2005 年かな。

最初は、ティーザーサイトが出たのですよね。最初はどこが始めるブランドかわからなくて。個人的にはエレコムさんとかサンワサプライさんなのかなと思っていたらシグマ APO さんだったという。最初のマウスの名前のコードネームが、確かマングースみたいな感じだったと思うのですけど。Razer の蛇を意識して付けられたのかなと思っていました。

梅村: 当時はまだ品番も決らないのでとりあえずコードネームを付けてやっていました。呼びやすい方が良いのじゃないかなということで途中で変えたりもして。やはりある程度意味づけがあったほうがいのじゃないかなということですね。

で、これをどのタイミングでリリースしようかなと思っていたのですが、そろそろ Vista も出るということで会社からせっつかれるわけですよ。

お前の Vista マウスはどうなっているんだと。

梅村: それまでは他のマウスやカラーリングを変えたバージョンや PC 切り替え機を出してお茶を濁していたのですけど、僕はゲーミングマウスを出すつもりだからそろそろゲームのタイアップ先とかを探さないとまずいぞと。それで動き始めたわけですが、これが悲しいことにどこも相手をしてくれないのですよ。(笑) 

オンラインゲームの会社ですか?

梅村: それもあるのですが、最初は Valve に連絡したのですよ。

いきなり Valve …!?

梅村: Valve はまったく反応が無くて、他のところも返信すらなかったですね。で、日本の会社にも色々と連絡したのですがこちらも反応がありません。単純に考えればマウスで、しかも試作しか出来上がっていないところでゲーミングデバイスを展開していくと言っても、まともに信じてくれる会社は普通ないですよね。

今後、マウスもパッドもキーボードもすごい製品が出ますよと言っても。

梅村: で、唯一アポイントがとれたのが EA さんだったのですよ。営業の人間にツテがあったので、その細い繋がりにしがみついて構想を話しに行ったわけです。でも、EA さんはグローバルに展開されているので、「ワールドワイドで出来ないと、いろいろ展開するのは難しいですよ、ゲームスタジオさんと話が付かないと」というような返事でした。でも「Valve さんには相手にもしてもらえなかったんです」なんて言えないじゃないですか(笑)

そこで色々と考えたのですが、FPS といえばミリタリー系がかならずひっかかるだろうという、すごく甘い予想で、とある夏の日曜日に当時営業部にいた神尾と会社の女の子と 3 人でミリタリー系の「ブラックホール」というイベントに行ってみたのです。

ミリタリーファンの方が集うイベントですか?

梅村: そうです。「日本兵がいる!」「あそこでドイツ兵がヒトラーに敬礼しているぞ!」とか言いながら会場を見て回りました。一通り楽しんだのですがあまり収穫は無かったなと思って帰ろうとしたら、展示コーナーにゲームヤロウ、当時ゲームハイのマーケティングを担当されていた方が 1 人でオープン前の『サドンアタック』の PR をされていたのです。失礼な話ですけど 14 インチ TV でサドンアタックのビデオ上映とチラシだけですっごいヒマそうでした(笑) とりあえずダメもとで声をおかけして、今度お話をさせてくださいということでようやくアポが取れたんです。

当時の『サドンアタック』はそんなカンジでしたか…。それにしてもとりあえず行ってみるものですね(笑)

梅村: 本当に偶然でした。そしてしばらくしてゲームハイさんに行った時に、当時『サドンアタック』の公式インストラクターだった KeNNy さんにお会いしました。そして KeNNy さんに使ってもらって意見をいただいたりして。「IE3.0(Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0) みたいじゃないとダメですよ」とかまたまた厳しい意見で(笑)

他には『カウンターストライク NEO』がプレイできる蒲田の LEDZONE に足を運んだり、まだ発売もしていないのにいろいろなところに行きましたね。

その後くらいに『True Combat: Japan』ですか、彼らが夏に東京のネットカフェで TC:E の大会をやるというのを聞きまして。後の『CyAC』の前身ですね。当時、僕らの情報に入ってきていたオフラインの FPS イベントってそれしかなかったんですよ。彼らに連絡してみたらこういうことがしたいというので、じゃあ、そこに加わらせてくれないかとお願いしました。

そのイベントで公開前のマウスを参加者のみなさんに使って頂きました。一般の方が使ったのはその時が初めてですね。その時に何人かに声をおかけして試作品を 2 週間くらい使っていただいてレポートを出してもらいました。その当時の試作品は、サイドのラバーが無かったりいろいろあって、それぞれ違うわけです。その使用感などをレポートしてもらいました。いい意見はプレゼン資料に載せて(笑)

なるほど。そのプレゼンの後で『ダーマポイント』プロジェクトのゴーサインが出たのでしょうか?

梅村: いやーそれでも GO は出なかったんです。でも神尾がおもしろがっていて「注文取れました!」と言っていたりして受注を取り始めていたんですね。「買う人います!」と言っていたりして。多分ウソだったと思うんですけど(笑)

そこは機転が利いたサポートだったんですね(笑)

梅村: それでもうやりましょうということになりまして。神尾さまさまですね。

「ダーマポイント」プロジェクト正式スタート

「ダーマポイント」というブランド名にしたのはなぜですか?

梅村: もともと世界で販売しようともくろんでいましたので英語を由来とするブランド名でないほうが埋没しないでいいだろうと英語以外の言葉を探していました。トイレットペーパーから ICBM まで取り扱うアジアの会社のイメージがでれば面白いなと思っていました。

最初にお話した社内での一件があったので冗談半分で転職の意味がありました。ドラクエですね(笑) でもよく調べてみると dharma の意味はサンスクリット語で禅宗開祖「Bodhi-dharma」の音写「菩提達磨」でもあったのでだるまといえば七転び八起きじゃないですか。

それに禅問答が論理的な考え方をしているだけでは絶対に解けない不合理や矛盾を含んだ問題を何年も考えてようやく論理の壁を破って「悟り」という解答がでるかどうかというところにも「dharma」言葉に魅力を感じました。まあ単純に禅宗開祖のありがたい御利益があるのかなと思ったんですけど(笑) “ダーマ”というのは割合、初期にきまりましたね。“ポイント”は自分たちがニッチなのは承知してましたので(笑) 点を表す意味がついて最終的に“ダーマポイント”となりました。

最初のデザインロゴは梵字をあしらったものだったんですがある程度世界での販売を想定していたこともあったので宗教色はよくないだろうと現在の現代的なロゴに改めました。当時のデザイナーにドイツの銃器メーカー“ヘッケラー & コッホ”の WEB サイトを紹介したら今のロゴができあがりました。全然 H&K とロゴが違うのでなんでこのロゴになったのかは謎ですね。(笑)

それで名前は正式に「ダーマポイント」となってプロジェクトがスタートしたわけですね。

梅村: しばらくして秋葉原の PC ショップ『PC Ark』でゲーミングデバイス等を担当されている桐山さんのところにお伺いして、こういう事をやろうと思っているんでご意見を聞かせてくださいとお願いしたら「ゲーミング関係は大変だから辞めた方がいい」とまた怖いこと言われたんですね(笑)。いろいろアドバイスをいただいて、でも結局は辞めなかったんです。

それで結局『ダーマポイント』製品としてリリースを出すことになりまして、その前にティザーサイトをやりたかったので色々な所にお話をしに行ったのですが、ちゃんと聞いてくれたのは 4gamer.net さんGame Watch さんでした。4gamer.net さんにお会いした時にはすでに Ark さんから話が流れていたようでした(笑)話をさせて頂くとどうやら興味を持って頂けていたようでした。

他にもアマゾンさんにもお話をしにいかせて頂いていて。アマゾンの担当の方に「マウスとマウスパッドを買うと 1 万円になるんですよ」というお話をしたのですが、高くて怒られると思ったら「高くて良いね!」という反応でした。アマゾンの方はそれでまとまったと。取り次いでいただいていた担当の方も『バトルフィールド』シリーズをプレーされていてゲーマーの方だったんです。最期は色々な方に電話をして取り扱って頂けないかお願いしたのですが、当時はリリース前で何の知名度もないので今となっては覚えていない方も多いのではないでしょうか。

一番最初にリリースした製品
一番最初にリリースした DHARMA TACTICAL MOUSE と DHARMA TACTICAL PAD

そのあとは、ゲームヤロウさんからのご紹介で LAN パーティの『BIGLAN』に絡ませてほしいと長縄さんにお願いをさせていただいて、長縄さんがそれならと当時、イベントを担当されていた株式会社 成さんが放送していた SACTL の予選にお邪魔してはじめて BRZRK さんにお会いしました。

そこで予選配信を見ていた BRZRK さんがすごく興奮していまして「いままで見ていた大会とサドンアタックの大会は観戦者数のケタが違う」と。それで SACTL の規模はすごいんだなと思いましたね。その後から、当時ゲームヤロウにいらっしゃった岩間さんやゲームライターの佐藤カフジさんなど、いままでまったく反応がなかった扉が開かれるようにとにかくいろいろな方にお会いすることができました。思えば Yossy さんも同じタイミングでしたね。そして SACTL の最終日に当時 4Gamer.net でゲーミングマウスのレビューをしていた Crize さんとお会いしました。

あー、なるほど。その頃は今と違って彼がレビューしていましたね。

梅村: 最初にゲームマウスを作ろうと思った時に Crize さんのレビューを参考にさせてもらっていたんです。ゲーミングマウスのレビューや批評において、ある程度の基準を設けて書いていたのは当時彼だけだったと思うんです。だから、Crize さんがレビューしていなかったらダーマポイントは無かったかも知れないですね。なので、初めてお会いした時に感謝しているという事をお伝えしたんですよ。

多分、それを聞いたら「ダーマポイントはワシが育てた」とか言いますよ(笑)

梅村: いや、でも本当にそれは間違いないですよ(笑) KeNNy さんやいろいろな方からたくさんの意見をいただいて完成しましたから。そういう意味では本当にみなさんのおかげです。

マウスのゲームプリセットに Doom など化石クラスのタイトルがありますけどそれは BRZRK さんのアイデアです。SACTL で優勝記念マウスを贈ろうとおもったのも、自分たちなりの感謝を表明したかったのかもしれませんね。

製品を初めてリリースした後の反応はどうでしたか?評判とか。

梅村: そうですね、アマゾンのマウス部門でランキング 1 位になったんですよ。それまでの OA 用マウスではそんなことはなかったので、記念にスクリーンショットを取りましたね。リリースしてよかったのは各ゲーム関係各社へご連絡さしあげたときに以前とちがって話が非常に通りやすくなりました。(笑)

DHARMAPOINT プロフィール DHARMAPOINT プロフィール
2007年に始動した日本のゲーミングデバイスブランド。2011年7月からは体勢を一新し再スタート。
http://www.dharmapoint.com/ http://twitter.com/DHARMA_POINT/

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