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GEAIM:第24回 佐藤カフジ - FPS と出会い、廃人軍団総帥、ゲームプログラマ、ゲームライターとして活動中

公開日:2011-08-07 12:35:20

GEAIM ピープル第 24 回には、十数年前の 高校時代に FPS と出会い、現在は廃人軍団総帥、ゲームライター、ゲーミングイベントなどで活躍されている 佐藤カフジ 氏が登場です。過去にオンライン大会に出場した際に DoS 攻撃を受けたエピソードなど興味深い話が登場します。

1. ゲームのプレーネーム(ニックネーム)の由来を教えていただけますか?

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おもに KAF、Kafuji、たまに SiRuOtOkO という Nick でゲームやってます。Kafuji というのは、自分の本名が耕司(こうじ)で、旧仮名遣いで書くとかふじなんですね。それで、中学時代友人から「かふ、かふ」と言われていたのですが、それがまんざらでもなくて、短縮して KAF と名乗り始めました。当時まだ NIFTY-Serve みたいなパソコン通信 BBS が主流で、短いほうが帯域も節約できて都合がよかったという(笑)。時代を感じますね。

SiRuOtOkO のほうは、廃人軍団を設立するかしないかという時代に、やたら汁汁言っていた影響です。完全にネタネームです。どうでもいいゲームをちょろっと冷やかしでプレイするときによくこっちの名前を使ってました。今はもうほとんど使わないですけどね。

2. 初めてプレーした FPS/RTS や PC ゲームについて教えていただけますか?

はじめてプレイしたのは、高校時代にカナダの知人宅にホームステイした際、PC ショップの店頭で見た Wolfenstein 3D です。ごく短い時間だったのできちんと遊べてはいなかったんですが、見たことのない 3D 表現に衝撃を受けた記憶があります。

その衝撃も冷めやらぬ高校 3 年の時に、いきつけのゲーセンで世話になってた店員兄貴から、「DOOM という凄いゲームがあるらしい」という噂を聞いて。早速 NIFTY-Serve でシェアウェア版を見つけて、半日かけて DL しました。でも当時まだ PC-98 を使っていて、PC/AT 版の DOOM は家の PC では動かなかったんですよ。それが凄く悔しかったので、翌年イマジニアから PC-98 版が出た時にはサルのようにやりまくりましたね。

それからしばらくは、NIFTY-Serve の海外ゲームフォーラムのチャットに入り浸り、対戦相手を見つけてはモデム直通で 1on1 をする、という日々です。当時まだテレホーダイ(※23時~翌日8時まで定額料金で電話回線を使えるサービス)すらなかったので、月の電話代が 8 万、10 万とかですよ(笑)。今考えるとクレイジーですね。ちなみに、当時 DOOM を対戦していたうちの何人かは、今でも良いゲーム友達です。

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id Software の名作『DOOM』シリーズ

3. 初めて参加したゲームの大会またはイベントの事を覚えていますか?よろしければ当時の事を教えて頂けますか?

最初に大会らしいものに参加したのは、日本最古の Quake クランである Tri-6 が主催した大会ですね。サーバー上で出現率の高い人間が 30 人くらい集まって、六本木のネカフェでトーナメント戦をやりました。当時は本当にガチでプレイしてて、わりと危なげ無く優勝できた記憶が残っています。終わったあとはもちろん、全員で宴会です(笑)。

その後 Tri-6 とアジアのコミュニティが連携して、オンライン上でアジア・パシフィック大会をやりました。オンライン予選は各国のサーバーで数週間スコア集計して上位が代表チーム選出という形だったのですが、とにかくプレイしまくって予選 1 位を確保しました。でも本選では海外チームとの対戦が本当に High-Ping で、調子が出る前にチームが負けてしまいました。でも、大会 MVP はチームメイトの NoGuSo だったので、良い思い出になってます。

Quake3 の時代になると、BRZRK やら Enza やら、若くて活きの良い世代が台頭してきて、個人競技では上位確保するのがやっと、という状態になりました。渋谷 Necca であったオフライン大会でも、アガってしまって初戦敗退と、散々でしたね。それで、最後に真剣勝負を挑もうとしたのがチーム競技の Counter-Strike です。

当時日本最大の CS コミュニティが開催した JCCT というオンライントーナメントで、廃人軍団として出場しました。第 1 回目の JCCT1 では、準々決勝で "kill" をバインドしたキーをうっかり押すという失態を演じて、僅差で敗退。第 2 回目の JCCT2 ではチーム練習も怠りなく、サブチームを 3 つ程度作ったり、もちろん自殺キーは取り除いて準備万端。練習試合では当時最強クランだった DeadlyDrive を撃破したりして、もうこりゃ優勝狙えるんじゃね?という状況だったんですよ。

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廃人軍団が違う意味で「真面目」に参加した JCCT2。

しかし、実際に試合が始まると、なぜか自分だけ Ping が激増して、10,000 とか 30,000 とかになる現象が出て。ラウンドが終わると普通に戻り、始まると激ラグになってゲームにならないという。ネットゲーム技術専門のプログラマもしてたので、DoS 攻撃だとすぐわかったんですが、試合中にやられてしまってはどうしようもなく。まともにプレイできないまま、敢え無く敗退してしまいました。

なんで DoS 攻撃なんて食らったかってーと、そりゃ日頃の鯖での行ないが酷すぎたからですかね(笑)。突撃したり死にながら“Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!”連呼、誰かがグレで自爆したら“Nice Jump!!”、“Nice Suicide!!”、そして何の脈絡もなく“Panty!!”。そんな SPAM をしまくりながらショットガン持って暴れるという塩梅で、それを楽しんでくれてた人も多かったんですが、正直ムカついてた人もいたんでしょうね(笑)。自業自得です。

4. 現在の主な活動についておしえて頂けますか?

技術者としてオンラインゲームの開発に携わってから、数年前にゲームライター業に転身しました。プレーヤー、開発者ときて、また違った角度からゲーム業界を見てみたい……というのが大きな動機です。

まあ、いい年こいてゲームやりまくってても「仕事だから」と開き直れるところも魅力なんですけどね(笑)。ライターとしては、得意の FPS 系を中心に、海外ゲームのレポートやレビュー、開発系のカンファレンスをレポートしたり、といった好きなジャンルの仕事をやらせてもらっています。

グルーヴシンクの松井悠さんからのお誘いで「デジタルゲームの教科書」執筆に参加させていただいたりと、それなりに充実した日々ではありますが、やはり最大の懸念は、ゲームをやりすぎて原稿が遅れることがままある、ということです(笑)。プロとして、それが致命傷にならないよう、自己管理することが大きなテーマです。もちろん、いろんなゲームをプレイすることは重要なんですけどね。

最近は FPS の腕が落ちたこともあり、レースゲームに傾倒しています。F1 2010 とか、Test Drive Unlimited 2 は、相当やりこみました。オンラインランキングでは、いくつかのコースで世界 20 位内を確保してますよ。レースゲームは FPS と同じく、空間把握力が生かされるので、現役 FPS プレーヤーのみなさんと一緒にやってみたいです。Tokyo Game Night でレースゲーム部とかやったら、人集まるかな?

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佐藤カフジ先生の作品が読めるのは GAME Watch だけ!(※他にもあります)

5. 活動を始めたきっかけについて教えてください

廃人軍団の馴れ初めでもお話しましょうか。今では IRC にオッサンが集まってぐだぐだ放送禁止用語をしゃべり続けるだけのどうしようもない集まりですが、Quake や Counter-Strike がアツかった時代は、廃人軍団もアツいプレーヤー集団でした。

そもそもは、日本最古のオンライン FPS コミュニティである「Tri-6」が、「公式クラン」の認定をうけたことから始まります。当時、公式クランを名乗るには Quake の開発元 id software からの認定をうける必要があり、非常にハードルが高かったんですよ。それで最初は、公式クランである Tri-6 の傘下に、それぞれ自由に「チーム」が集まるような構図でした。

その中に「魔人軍団」という、30 代のオッサンばかりが集まったチームがあって、僕らととても仲が良かったんです。OFF に誘ってもらったりして。そのチーム活動がとても楽しそうだったので、こりゃ、自分らもチームを旗揚げせんならんと思って、魔神軍団をもじって「廃人軍団」と命名しました。最初は仲の良い 3 人くらいで始めたんですが、来る者拒まずで、気がつくと 30 人以上、“]HJ[ ”のクランタグをつけるプレーヤーがいることもありましたね。

そんな経験もあり、自分の今までの人生は、ゲームのオンラインコミュニティに負うところが大きいです。最近ではオンライン FPS の盛り上がりもあって、有名クランが単なる趣味の集まり以上のものになっていく、そんなダイナミックさがありますね。そうした社会経験や実績が、若い人たちの人格やキャリア形成に寄与すれば最高だと思っています。

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魔人軍団が主催した「熱海温泉 LAN OFF 激闘乃記録 2001」のレポート記事。左下の写真が当時の佐藤カフジさん。

6. どのような目標で活動をされていますか?

ライターとしては、良いゲームを広く紹介し、良いゲームとの付き合い方を提案して、ゲームに触れる人たちを少しでも幸せにすること、ですかね。クソゲー掴まされて小遣いをどぶに捨てることほど悲しいことはありませんから(笑)。

同時に、報道を通じてゲームの開発・販売に携わる人達の助けになることも目標です。特に今の日本のゲーム業界は、高い実力と大きなアドバンテージを持ちながら、それをうまく発揮できていないところがあるので……。非力ながら、少しでも役に立つ情報を出せていければいいなと思っています。

ゲーマーとしては、今力を入れているレースゲームジャンルで、大会でもあれば出場して、好成績を残せれば本望です(笑)。まあ、大会そのものがないに等しいので、ひたすらひとりで走りこんでるばかりなのが現状ですけどね。

7. 活動やゲームを通じて人生に何か影響がありましたか?

DOOM に出会っていなければ、全く別の人生を歩んでいたことは間違いありません。ゲームでの活動を通じて素敵な友人たちを得ただけでなく、仕事上のキャリアもすべて、ゲームのコミュニティがきっかけです。今目標としていることも、ゲームをやっていればこそ、持つことができたものです。

8. 使用しているデバイスとそれを使っている理由を教えていただけますか?

マウス『DHARMA OPTICAL GAMING MOUSE 【 DRM26 】』
自分は手が小さめなので、日本人向けに作られたこのマウスのサイズとフォルムが気に入っています。あと、DHARMAPOIT ブランドを応援する気持ちも込めて。でも、サブマシンで DeathAdder 3500dpi を使ってるのはヒミツです。

マウスソール『DHARMA SMOOTH FEET』
マウスが DRM26 なので、自然とこうなりました。

マウスパッド『DHARMA TACTICAL PAD - クロスタイプ 80cm』
布タイプで幅 80cm もあるということで、仕事&ゲームでデカい机を使っている自分にはぴったりでした。性能面では Artisan のマウスパッドに惹かれることもあるんですが、常用するとなると、自分的にはデカいほうがいいですね。

キーボード『REALFORCE91UBK』
Realforce の軽くて上品なタッチはゲームに最適です。もちろんタイピングにも最高の感触があるキーボードなので、仕事とゲームの両方で愛用。サブマシン用を含めて、3 枚併用中です。

ヘッドセット『なし』
自宅でゲームするときはスピーカーから音を出す派なので、ヘッドセットはボイスチャットするときに首にかけるだけです。マイクさえついてれば何でもいいので、空欄です(笑)。

モニタ『LG W2363D』
作業用 PC では三菱の VISEO を使っていますが、ゲーム用 PC ではネイティブ 120Hz が絶対条件ということで、これを使っています。いちどネイティブ 120Hz の動きに慣れると、もう 60Hz モニタには戻れないですよ!ちなみにレースゲーム用には別環境があって、ドライビングシートに 37 インチの HD テレビを組み合わせて使ってます。そろそろ REGZA 欲しいなあ~。

9. 注目しているゲーム、e スポーツに関するものサイトやブログがあったら教えてください。

Gamers Express
松井 悠さんがやってるニュースサイトです。独自取材の他では読めない記事もあったりするので、要チェックですよ。

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GameBusiness.jp
ゲーム産業に関する素晴らしいニュースサイトです。今このジャンルどうなってるんだろう?というときにしばしば利用しています。

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Tri6
毎年更新!最古の FPS コミュニティサイトです!サブコーナーも充実!

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10. サイトを見ている人に何かメッセージがあればお願いします。

特にないです!

あ、『F1 2011』 が 9 月発売になるので、みんなもやろう!

11. 次に、ゲームや e スポーツでがんばっていると思う方をこのインタビューにご紹介していただけますでしょうか。

オフラインイベントの舞台裏の立役者ということで長縄実(KINTA)さんはどうでしょうか? BIGLAN またやって欲しいです!

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佐藤カフジさんありがとうございました。個人的にかなりの佐藤カフジファンで、GAME Watch タイトルとリードを読んだだけで 9 割くらいはご本人の記事だとわかります。個人的に、廃人軍団の Gyaaaaa!! スパム問題で当時所属していたチームで壮絶な掲示板バトルを体験しています。記事を編集しいて懐かしくなりました。

次回は佐藤カフジさんのご指名で LAN パーティ『BIGLAN』の開催や様々なオンライン FPS のオフラインイベント運営などで活躍されている長縄実(KINTA)さんが登場予定です。お楽しみに。

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