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GEAIM:第02回 uNleashed - プロゲーマーとして国際大会に出場、ゲーミングデバイス開発に参加

公開日:2011-02-22 11:27:41

海外のプロフェショナルゲームチーム Excello に所属したり、国産のゲーミングデバイスブランド『ARTISAN』でゲーミクングマウスパッドの開発、オフラインイベント『Tokyo Game Night』の運営など様々な分野で活躍されている 田原 "uNleashed" 尚展 氏にインタビューを行いました。

1. ゲームのプレーネーム(ニックネーム)の由来を教えていただけますか?

uNleashed: 大体 7 年間ぐらい「tibisuke(^^)/」を名乗っていたのですが、お前はいつまで「tibisuke(^^)/」なんだと一回り年上のおっさんに弄られ、思春期のかっこいいネームが欲しい的なビッグウェーヴに乗る形で、カッコいい英単語を探していたところ、「†解き放たれし者†」という意味の「unleashed」にたどり着きました。

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「N」が大文字なのは多分、Counter-Strike の有名プレーヤー HeatoN 選手をインスパイアしたのではないでしょうか。Quake シリーズをメインに活動していますが、僕は元々 Quake プレーヤーでは無いので、uNkind 選手については知らなく、そちらから拝借したというわけではありせまん。

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ユニフォームに入った「uNleashed」のゲームネーム

もう一つの理由としては、tibisuke だと日本人プレイヤーは覚えてくれますが、海外勢には覚えにくい上に、仮に覚えていても「ティヴィスキー (スマイル)」とマフィア臭漂うネームになりがちだったからです。

改名の結果として、ジャッピーが最初の二文字である「uN」以外覚えず、意外にもこの単語を知らない方が多いので、統一感無く呼びかけられるようになりました。

正確に「アンリーシュド」、場末のスナックを想起させる「アンさん」、商談でも違和感を感じさせない「田原さん」、IEM アジアからの「ポテトヘッド」、最終形態「アンドリュー」等、皆さんに思い思いの名前で呼んで頂いてます。

「何て読むんですか?」という質問には、混乱を誘うため敢えてナイスなメリケン発音でお答えしてます。今年の 4 月ぐらいからまた名前変わるかもしれません。

2. 初めてプレーした FPS や PC ゲームについてを教えていただけますか

uNleashed: おそらく、『Marathon』のデモ版だと思いますね。小学 4 年ぐらいの時だったと思うので図化、我が家に始めて来た DOS/V 機の FMV に体験版が付いていて兄貴とワーワー遊んだのを覚えています。

そこから雑誌『PlayOnline』の体験版 CD に入っていたいろいろなゲームを遊ぶようになり、『SiN』の製品版を購入しました。

3. 初めて参加したゲームの大会またはイベントの事を覚えていますか?よろしければ当時の事を教えて頂けますか?

uNleashed: 大会には積極的に参加するようにしていました。初めて参加した大会については10 年以上前なので正確かは分かりませんが、恐らく 2000 年頃に開催された、『Team Fortress Classic』 の大会『ANC TFT』だと記憶しています。その大会では、確か準優勝になったと思います。その後の大会になりますが、TFC 勢生唾もののアーカイブが有ったのでご紹介しておきます。

当時の思い出としてはゲームプレイには全く関係無い話で恐縮ですが、当時、僕は [-G3-] という、某専門学校の寮生を中心に作られていたクランに属しており、6 歳上のチームメイト達が、メンバー BBS にてエロゲートークに花を咲かせていたり、(金正日という投稿者が「natural2 サイコー!」等と発言している)、特定の人間がどうでも良い事でしばしば口げんか(これも BBS)しているのを見て、こういう変態紳士には成るまい、と心に誓いました。本当に有難う御座います。

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uNleashed さんが大会に参加したゲーム『Team Fortress Classic』

当時「試合」をする機会は大会というより、1 ヶ月前からクランウォーの予定を組み、サーバーを借りて試合するのが主でした。1 年間で 10 試合有れば良いかなーという塩梅でした。初めてクランに入って試合に出場した記憶は鮮烈に残っています。

その時の相手は国内 2 番手の「NYO」というクランでした。マップは「2fort」で、クラスは「heavy weapons guy」。ポジションは橋でディフェンスという、まさにゲームが煮詰まる前のめちゃくちゃな作戦でした。序盤の数分で 5kill ぐらい取れましたが、すぐに相手が水路ルートを取る対策に乗り出し、NYO の Peta さんの Medic に背後から毒を盛られまくる事になりました。試合結果は覚えてないけどたぶん勝ったと思います。必死すぎて勝ち負けとか覚えてないです。

開幕前は緊張で手の振るえが止まらず、始まったらアドレナリンやらエンドルフィンやら出ちゃって、終わったあと IRC でずっと喋りっぱなしになっていたのを覚えています。Quake でもエンドルフィン的な幸せ物質の分泌を感じたことはありますが、あそこまで強烈なのはこれまでに無かったのではないでしょうか おそらく、若かったからというのもあるかもしれませんね。

4. 現在の主な活動についておしえて頂けますか?

uNleashed: 2011 年 2 月現在は、ゲームは 『Monday Night Combat』のようなカジュアルなものをプレイしています。あとスマートフォンを買ったので『Angry Bird』を始めました。

大会参加は去年の秋が最後で、それ以降ゲームはゆるく遊んでいるイメージです。参加できる国際的なサーキットが『QuakeCon』位しか無くなってしまった事もあり、『Quake Live』は殆どプレイしてないですね…。

イベント運営は LAN パーティー『Tokyo Game Night』を相も変わらずやってます。お陰様で今年で 3 年目を迎えますね。年々徹夜がしんどくなっていきます。

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LAN パーティー『Tokyo Game Night

自分の個人サイト『uNleashed.jp』は丸 1 年ぐらい放置してしまったので、サイトの趣旨から丸ごと刷新する予定になっています。

4 月から普通の男の子に戻るので、色々と最後のツメをやっていたりします。

5. その活動を始めたきっかけについて教えてください

uNleashed: イベント運営の最初は、2000 年の時に唯一の国内 TFC サーバーだった、『ANC TFC Server』のサーバー管理者をお願いされたのが皮切りです。ANC サーバーは株式会社エインシャントさんが建てていたサーバーで、企業の名前が入っている事もあり、かなり厳正でシステマチックに運営されていました。

ANC サーバーのホームページが日本の TFC コミュニティーサイトとしても機能していて、非常に影響力があったと思います。管理者も 5 名程しかおらず、その一員として迎えていただいた事は誉れであるな、と自画自賛に思い起こします。迷惑プレイヤーに対する対処方法の協議やイベント企画等、楽しいことから嫌な事まで色々と勉強させていただきました。イベント運営が楽しいと感じるようになったのはこれがきっかけでしょう。

2002 年には、『Far East Team Fortress Classic League』という『Team Fortress Classic』の大デバイス会を主催しました。こちらは台湾、韓国からも参加を頂き、合計 100 名程度の登録を頂いたのを覚えています。

一人で管理や交渉が出来る規模ではなかったので、有志を募って役割分担を行い、サーバーをブッキングして何とかやりきりました。

試合観戦機能『Half-Life TV』がリリースされたばかりの頃で、「試合を観戦する」という事が画期的だった事に加えて、決勝戦の [NGTR] vs [LBS] が怒涛の接戦で凄かったのを覚えていますね。未だに demo は取ってあるので、動画にして up するのも良いなと思ったりします。

イベント『Tokyo Game Night』 の発端は、単純に『LAN パーティー』をしたいなという思いからです。4 回程参加させていただいた『BIGLAN』がアナウンスされなくなり、『NightLAN』もどうやら開催が停止してしまったようで LAN パーティーの開催が足りないと日々思ってました。

スウェーデンで開催されている世界最大の LAN ゲームパーティ『Dreamhack』に参加して毒されてしまった宮尾さんと、日本で『QuakeCon』的なパーティーをやりたい私、そしてとにかくハードコアなゲームカルチャーを守りたい『秘密基地GAMES』の hanatyan の利害が一致しまして、宮尾さんと初対面のその日に TGN 企画がスタートしました。本当ににスピード感の有る開幕でしたね。会場もすぐに決まって、準備期間 2 ヶ月ほどで第 1 回イベントを迎えたと思います。

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世界最大のLANパーティ『Dreamhack』

僕がプレイヤーとしてスポンサーを得たり、様々なお仕事を頂くようになったきっかけは、大学 1 年の頃の大怪我に有ります。夏休みの部活中にヒザを派手にケガしてしまい、向こう 2 年ぐらい激しい運動が出来なくなり、部活動には手伝いと飲み会ぐらいしか参加できない状況になってしまいました。

ヒマとエネルギーが有り余っており、何か大会的なものに出たいなと FPS 『Quake4』を始めました。僕が始めた頃は既に日本では誰も遊んでいないゲームで、日本で唯一の対戦相手 Broken 君と毎日練習していました。当時はおいしい仕事をいくつか貰いお金を貯めこんでいたので、とりあえず北米にて開催される世界大会『QuakeCon』と『World Series of Video Games (WSVG)』に出場しようと決意しました。

しかしながら、それだけでは単なる旅行で終わってしまうので、勉強も兼ねてデバイスメーカーさん各社にお話させて頂いたところ、デンマークを拠点とするゲーミングデバイスメーカー『SteelSeries』さんからデバイスの提供支援と、現地での諸々のヘルプをいただけることになりました。この『SteelSeries』さんとのお付き合いから輪が広がり、飲みニケーションを重ね、沢山の面々と出会うことが出来ました。

6. どのような目標でその活動をされていますか?

uNleashed: 『プロゲーマー』という肩書きでの活動は基本的にもう引退寸前ですので、当時目指していた目標を挙げておきます。この活動に於ける自分の目的は、大きく 3 点に分けられます。

一点目は自分がどこまでも伸びる気がして仕方が無かったので、『自分のパフォーマンスの限界を知りたい、とにかく上達しよう』という事です。

二点目として、『「ゲームプレイ」という行為がどれだけ現在の社会で経済活動に結びつくか、どれだけ他人の役に立つのか』を探求する事です。

三点目は、『「ゲーム」という媒体を最大限に楽しむこと』です。

一点目に関しては、まだ自分の限界は見えていません。昨年の『QuakeCon』は全く結果残せませんでしたが、あの当時よりも現在の方が上手だと思います。有終の美で終わりたかっただけに悔いは残りますが、別にゲームを辞める訳ではないので、気が向いたらまた挑戦しに行きたいなと思っています。

二点目は新作イベントへの出演からゲーム内容に関わるもの、チャレンジイベントであるシュートアウト形式の企画等、様々な形態のお仕事をお受けさせていただきました。また、日本産のゲーミクングデバイスを開発するブランド『ARTISAN』のプレイヤーとして 1 年契約を結び活動しているのも一つの結果かなと思っています。詳しくはお話し出来ませんが、とても良い条件で契約させて頂きました。

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『ARTISAN』のスポンサードプレーヤーとして活動

三点目は、「たかがゲーム」と呼ばれるゲームが何処まで楽しめるものなのか、雑に表現するならば「どれだけ面白いことができるか」といった所でしょうか。単にゲームをプレイするだけでは「たかが」が妥当かもしれませんが、その周辺領域まで視野に入れて活動することも、ゲーミングに内包された世界だと思っています。自分は国内トップクラスでゲームを楽しめていると思うので、ゲームってまだまだ可能性があるなぁと思っています。

イベント運営に関する目標は、『日本に大規模 LAN パーティー』を根付かせることです。宮尾さんは『ゲームプレイイベントのコミケ的な物』と良く形容しています。僕の具体的なイメージは『QuakeCon』がモデルで、宿泊施設がその場にあるような、合宿系 LAN パーティーをソレに混ぜたものになります。TGN は最初の 1 年間、開催すること自体に追われてしまい内容の改善が上手に出来なかった面がありますが、2 年目にして行った『TGN21』には 70 台を超える BYOC 参加を頂き、ようやく形が見えてきたかなと思えた部分が有ります。

あらゆる垣根を越えて遊べる場を求めて、今年も益々規模拡大を目指したいと思っています。

7. その活動、もしくはゲームを通じて人生に何か影響がありましたか?

uNleashed: これに関しては多大な影響が有ったと言えます。

まず、プレイそのものを通じて、学校だけでは知り合えない様な人々と知り合えたこと。当時中学 1 年生ぐらいから、年齢層の全く違う方と知り合ったり、海外の友達を作ったりというのは、学校の中だけじゃ絶対にありえない事ではないでしょうか。そうした出会いやコミュニケーションが自分の情操に影響を及ぼしたことは間違いないでしょう。英語を頑張って勉強しようと思ったのも、海外の友達が出来たからですね。

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海外のゲーマーとも知り合いに

プロ活動に関しては、改めて何かに挑戦することの面白さを感じることが出来ました。加えて、己の敵は己にある事をリマインドされた感じですね。あとは半人前ですが、社会人的なマインドを学べたこと。

イベント運営も勉強の連続で、サーバーに関する知識などのコンピューターにまつわる学習の動機となったことや、物事を運営するための運営体制、チームワーク、リスク管理といったスキルの育成に役立ったなと実感してます。主体的に企画をブチ上げて行く事の大切さ、面白さを知ったのもイベント運営からではないかなと思います。

最後に、何れの活動でも単純に面白いコネクションができました。国内外を問わず、プレイヤーはもちろん、メーカーさんから広告代理店の方など様々な方とお知り合いになれました。男女比が微妙に偏っているのが気になりますが、退屈しない毎日です。

就職活動のときもゲーマー活動関連の話になりがちでしたね。関連が薄い業界にも関わらず、根掘り葉掘り聞かれるので面接時間の大半のトピックになっていました。一社はその話だけで終わっちゃった程なので、真剣なゲーム活動は「就活にも役立つ!」と言えるのかも知れないですね。

8. 使用しているデバイスとそれを使か?

マウス『DHARMAPOINT DRTCM15 "cutlass"』
IE3.0 からの移行で、ドライバレス駆動が可能であること、フロントセンサーに興味を持ったことから使用しています。

マウスソール『DHARMAPOINT 純正ソール』
十分に滑り出しが早かったので使っていますが、まだソールに関しては十分な研究が行えていません。近日中に円型の物に変更して実験予定です。

マウスパッド『ARTISAN KAI.G3 飛燕 QuakeCon モデル ソフト L サイズ』
ガチガチにプレイ時間を取れているわけではないので、とにかくコントロールし易いマウスパッドがほしかった為。あと僕がチューニング参加したものなので、当然自分に合います(笑)

キーボード『Cherry G85 Black』
バネの弱いメンブレンや誤入力が発生しやすい RealForce を辞めて、1 歩 1 歩コントロールして入力できるパンタ式キーにしました。ストロークも浅いので、反応からゲーム内反映までが体感できるレベルで早いです。

ヘッドセット『SteelSeries Siberia V2 White』
マイクが可も無く不可もなく、付け心地も軽いので長時間使用が楽です。大会時は遮音に命をかけるので違うもの使います。大会時は『Ultimate Ear Metro Fi220』と『Sennheiser HME100』を組み合わせて使用していました。

モニタ『FlexScan T565 (CRT)』
ぬるぬるするしね。※ 120Hz 液晶にもう直ぐ変えるよ!

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uNleashed 氏のプレー環境

9.注目しているゲームまたは eスポーツのサイトやブログがあったら教えてください。その理由についても教えてください(複数可)。


uNleashed: 老舗の Quake/Starcraft コミュニティーニュースサイト『ESReality』ですね。情報が豊富なので。

10. サイトを見ている人に何かメッセージがあればお願いします。宣伝的な事でも良いです。


uNleashed: 合コン向けサーバー情報募集してます。

11. 次にこのインタビューを見てみたい人を教えてください。


uNleashed: Counter-Strike1.6 チーム Vae Victis の XrayN さんですね。数少ない古参生き残り勢なので。

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uNleashed さんは「ゲーム」と上手く付き合った活動をされているのが非常に印象的でした。次回更新では uNleashed さんご指名の XrayN 氏が登場予定です。

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